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2017/11/30

何かと話題のVALU!投資対象として成立するのか

(写真=Maciej Bledowski/Shutterstock.com)
(写真=Maciej Bledowski/Shutterstock.com)

2017年5月31日に登場した「VALU」は、インターネット上で人気を博し、社会現象となりました。「必ずもうかる」「夢のための資金を調達できる」などと真偽不明の情報が飛び交い、SNS上の影響力の高いインフルエンサーと呼ばれる人物を中心に取引が盛んとなりました。

今回は、VALUとは一体何なのか、投資対象として成立するのかご説明します。

今さら聞けない「VALUとは何か」

VALUとは、個人の価値を売買するサービスです。ホームページ上では、「ビットコインを用いたマイクロトレードサービス」と書かれています。簡単に説明すると、ビットコインを使って、個人のVALUを買ったり売ったりできる仕組みです。企業の株式上場のように、個人がVALUを発行して資金を調達できます。

VALUの会員に登録すると、自分でVALUを発行したり、他人のVALUを購入したりすることができます。VALUを購入したければ、ビットコインの取引所からビットコインを入金する必要があります。

VALUの発行には審査がありますが、株式会社の上場に比べればきわめてハードルが低いものです。SNSのフォロワー数などに応じて審査が行われ、通過すると自分用のVALUを発行できます。そのVALUを買ってくれる人がいれば、ビットコインで資金調達できるというわけです。逆に買う側の人間は、個人を「応援」する気持ちでVALUを購入することになります。VALUの購入に対して、優待として何らかのサービスを提供することも可能です。

応援する人にお金を出すという点では、クラウドファンディングと似ています。一方でクラウドファンディングとは異なり、購入したVALUに価値(値段)がついています。ある人のVALUが購入した後に値上がりした場合、購入したVALUを売却することで売却益を得ることも可能となります。また、見返りのある非投資タイプの購入型、投資タイプのファンド型、貸付型、株式型のクラウドファンディングとは違い、VALUでは明確な見返りがなくても構いません。

このように、クラウドファンディングに金銭的なメリットがつくかもしれない、と思わせる点もVALUの特徴のひとつといえるでしょう。

VALUは「株式」でも「投資」でもない

注意すべきなのは、VALUは株式でもなければ投資でもないということです。一般的な株式には、配当を受け取る権利と議決権があります。企業が利益を上げると、その分け前を配当として得ることができますし、株数に応じた議決権を通じて企業の経営に影響を及ぼすことができます。

それに対して、VALUには配当権も議決権も存在しません。VALUの発行者が、VALUによって大金を調達できたとしても、買ってくれた人にお金を提供することはできません。購入者は、発行者の優待内容に影響を及ぼすこともできません。優待内容の決定権は、発行者のみにあるからです。

VALUの利用規約第1条には、「VALUは、株式を含む有価証券、前払式支払手段、法定通貨または仮想通貨のいずれでもありません」と明記されています。VALUの購入は、VALUの発行者に対する「応援」であり、リターンを期待した「投資」ではないのです。

利益を得ることは可能

VALUは投資でもありませんし、値上がり益をうたって発行したり購入を呼びかけたりすることもできません。とはいえ、結果的にVALUの価格が上がれば、購入額と売却額の差額から利益を得ることも可能です。

発行者はVALUの売れ行き次第では、大きな金額を調達できます。ただ、あくまで「調達」であり好き勝手に使うのは道義的に難しい面があります。義務ではありませんが、得たお金を何かしら購入者に還元すべく優待を設定するのが常です。

実際、VALU開始当初は、いわゆる「インフルエンサー」と呼ばれる人々が格安でVALUを発行していたとされています。結果的に発行者は大金を調達し、格安で購入できた人たちは値上がり益を得ることができていました。

しかし、VALUの規約にもあるとおり、「VALUを購入することは、VALUERにとって、発行者への応援の表明」であり、投資ではありません。さらに、規約には「VALUの発行者が本サービスから退会したり、当社からサービスの利用を制限されたりした場合、その発行者のVALUの価値は完全になくなってしまう場合もあります」とリスクについても記述されています。

VALUを投機対象として利用するのではなく、VALU発行者の人となりや活動に共感し、応援したいという気持ちを込めて購入するようにしましょう。あくまで、利益は副産物なのです。

具体的には多種多用な利用方法があるようです。例えばクリエーターがVALUを発行し、優待としてイラストをプレゼントするケースなどがあります。クリエーターはVALUで調達した資金を元に個展を開くなど活動資金として活用、またVALUをきっかけに知名度を上げる機会も期待できます。

また、ネット上で影響力のあるインフルエンサーがVALUERを紹介する優待、有名美容師がカットをしてくれる優待など、様々です。

VALUの目的は利益ではなく応援

結果的に、VALUで値上がり益を手に入れることは可能ですが、損失発生のリスクがあります。そもそも、値上がり益を目的としてVALUを発行ないし売買すること自体、本来のVALUの目的から外れています。

VALUは、発行者に資金を提供し、有益な活動や優待をしてもらうためのマイクロトレードサービスです。「もうかりそうだから買う」ではなく、「この人の活動を応援したいから買う」という姿勢があるべきVALUの使い方といえるでしょう。

大福汁粉
35歳の東大卒フリーライター。大手証券系SEで5年ほど勤務経験あり。節約・株式・投資信託・NISA・iDeCo・不動産投資・仮想通貨など、金融関係で幅広く執筆実績を持っている。

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